母のこと

「人は変わる」

母の口癖です

年を重ねるにつれて、友人も、父も、とても素敵な人になっていったと言います。

だから、今たとえ気が合わなかったとしても、

いつかは気が合うようになったりする、ということをよく言います。

 

母は、本が、映画が、音楽が好きです。

料理は苦手で、家事も苦手だけれど、洗濯だけは

毎朝必ずします。

新聞を読むことを日課としていて、それが毎日の楽しみだと言います。

家事の合間や食事の後に、新聞を読んでいる母の姿が好きです。

あらゆることを考えていて、それに対しての自分の意見があります。

人の話しを良く聞いて、共感能力が高く、

涙もろく、愛情深い人です。

その愛情を多く向けられているのが、自分や姉であることを知ったのは

ごく最近です。

母は、腰が低く人が良いので、すぐ疲れます。

わたしが帰ってくると知った時にとても生き生きすると

叔母が教えてくれました。

そんな時に、どうしても、

戻らない過去を後悔したりします。

愛を享受できていても、認知できていなければ

いつまでも荒んだままだったからです。

不必要なことがないように、今まで行き着くには

ここまでの過程は無駄ではないのだけれど。

 

私が知らない、母の知っていることが沢山あるように、

逆もまた然りで、私が母に何か話す時、

何か素晴らしいものを共有できたときの母の目は

とてもキラキラするのですが

この時は永遠であっても、いつか別れてしまうことが分かっているから、

涙が出そうになります。

私の記憶について話したとき、

「まるで自分の記憶のもののように感じる」

と母が言ったことがあります。

とても日本的で受動的な考え方だけれど、

そう言ってくれる人は恐らく母しかいないと思いますし

そんな存在がわたしにいることが喜びだなあと思います。