2018/08/29 父など

 

この間実家に帰ったとき、父が夏季休暇だったこともあり2人で出かけた。

父はとても貧乏な家庭で育った。お父さんが病気だから。

父の願いは、自分のこどもにはお金で苦労して欲しくないということだと聞いた。

今まで共通言語がほとんどなく、しろうともしない関係だった。

よく話すようになったのは、わたしが病気になってからだ。

父は自分のことを話すようになった。

この間、父がいまどんな仕事をしているのか詳しく聞いてみた。とても丁寧に説明してくれた。

 

父は昔とある企業のルマンのエンジニアだった。バブルが崩壊してから、ルマンのエンジニアとして働くこともできたみたいだけれど、こどもを育てるために企業に残って少し違う仕事をしている。

「もしわたしたちがいなかったら、ルマンのエンジニアの道を進んでいた?」と聞くと、父はしばらく考えてから「うん」と言った。

 

高校は企業が運営しているところに入った。そこでは毎月おこずかいがもらえたんだと嬉しそうに言った。(でもそれは生活用品で消えるくらいの額)

自動車を一から組み立てるコンテストで日本で二位だったと言った。よく覚えていないから、間違っているかも。一位だったら世界大会に出られたのに、と言っていた。

高校ではバスケ部で、副キャプテンだった。父の名前には二という文字がある。だから父はいつも二番なんだと言った。

 

父はテレビが好きだ。わたしは全然好きじゃない。

でも父がテレビを見て笑っているのをみるのは好きだ。

 

父はたまに映画を見に行く。

この間母と『ミッションインポッシブル』をみにいったそうで、まあまあ面白かったと連絡がきた。

 

家のローンはとっくに払い終わっている。一軒家でなくマンションにしたのは、こどもの養育費を優先したからだと勝手に思っている。

 

「人はいつ死ぬか誰にもわからんさ」って言ったら、「親より先に死ぬことは許さない」と言われた。母と同じことを言う。ほんとにわからないことだよと思ったが、「看取るつもりだよもちろん」と返した。

 

実家に帰ると、母が買い物に行くときはいつも車を出して荷物を運ぶ。

休みの日、誰かが出かけるときは、玄関に行って見えなくなるまで手を振るし、帰ってきたら玄関まで走って迎えに行く、まじで。(これはわたしが出て行ってから始まった家族の習慣らしい。帰るといつもびっくりする。)

 

あんなに仲の悪かった家族が、とても仲良くて帰るたびに毎回驚く。

 

「いづ(姉)がさあ、この間パパの部屋にきてさあ、よかった、いるって言ってきたんだよ。いなかったら寂しい〜っだって。」って言った父の顔、忘れられない。

というか、いつの間にそんなに仲良くなってるんだよ!と突っ込みたくなる。

帰るたびどんどん仲良くなってるんだもの。あの家族。

とてもほほえましくて、いまわたしもこの家族の一員だと思うとありがたさの極みでござる。

 

でもね。みんなわたしのことを孫だと勘違いしてない???

帰ったら、父は「欲しいものない〜?何でも買うよ〜」って言うし、母はお寿司ばかり買ってくる。

父に「特にない」っていうと、なんかしょんぼりするのが面白い。

あ、この間ドラえもんのおもちゃ買ってもらった。ポケットからラムネでるやつ。

そういえばお母さんにもドラえもんのフィギュア買ってもらったな。

チョコエッグで誰が入っているかわからないやつで、お母さんに選んでもらったらドンピシャでドラえもんだった。

ドラえもん、大好きな作曲家さんが好きということを知って以来、見かけたらつい買ってしまう。ドラちゃんがいると心が落ち着く。

 

 

父ともっとこれからたくさん話がしたいと思っている。

父の今までの人生ってどんなんだったのか、聞きたい。