2019/11/15
思い出す
ICUに入っていたとき、記憶はほとんどないのだけれど
私はおしめをしていて、トイレに行くのも車椅子でないとダメだった。
意識が朦朧としているなか、看護師に頼み紙とペンをもらい、今年制作予定だった劇映画の絵コンテを書いていた。
カーテン越しに見える隣の人は男の人だった、高齢でチューブが沢山繋がっていて、生きているのか死んでいるのかわからなかった。
私みたいな人は助けてもらいにくい。
チューブ一つ取れたら命を落とす人がゴマンといるなかで、私のためのベットなどどこにあるだろう?
それなのに受け入れてくれた病院には感謝してもしきれない。
主治医はどうみても過労で、彼自身も「長生きはできないね」と言っていた。(年間2000時間の残業ですよねと言ったら、いやもっとしてるねと)
最近ようやく分かったのは、私は彼の犠牲の上で助かったのだということだ。
なぜ今まで気づかなかっただろう。
なんどもなんども、いろんな人の時間を使って助けてもらった、大切な命を私は持っている。
なんて幸せなことだろう。