2020/12/03 夜明け

いつも、5時前に起きる。

最近は早いと3時に目が覚めて、歳を重ねるということを知る。

ああ、死が近づいてきている、と感じる。

 

自分の考えはたちどころに消えてしまうものが多い。

 

母と金柑のお話しをしよう。

去年、鍼灸院の院長先生にいただいた金柑がとても美味しかった。

後日スーパーに寄ると、金柑が半額になっていたので、買って食べてみたのだけれど

あんまり美味しくなくって、母に「食べてみて」と言って渡した。

母は美味しかったと言った。

今年、同じような季節がやってきて、店頭に金柑が並ぶようになった。

母は去年のことを思い出して金柑を買ったようだけれど、

それがそんなに美味しくなかったと言った。

 

私がどんなに恵まれているのかを伝えたかったのだと思う。

 

わかってる、恵まれているなんてことは。

でも、こんなにいらなかった。こんなにほしくなかった。

でも、持っているから、やることがある。

比べるのはあんまり良くないけれど

他の人より、大きな喜びを受け取る。

その代わり、背負う痛みがいつしか四肢や胴体に食い込んで、

傷が化膿し立ち上がれなくなるだろう。

何と戦っているのか、理解できないだろう。

私の必死さは滑稽に見えるだろう。

馬鹿にされて、現実を見ろと言われて、笑い者にされるだろう。

 

かまわない。それでいい。

そういうひとたちも含めて、守れる力の限り、守りたいのだ。

 

夢見ずとも、当たり前に明日が訪れ、

感謝をせずとも、朝日を全身に浴び、

死のみ別つことができるものを得、

当たり前に来る明日を、柔らかい布団が抱きしめる。

 

そんな日が、一人も欠けることがなく、みんなに、訪れますように。

そんな日を、私は、ずっと夢見ている。