2018/05/16 ドキュメンタリー映画3本立て ネタバレっぽい

『ラジオ・コバニ』『ラッカは静かに虐殺されている』『人生フルーツ』を見た。

 

『ラジオ・コバニ』

トルコとの国境近くのコバニという場所。ISに占領され、廃墟で暮らしている人の話。フォーカスされている女性は大学に進学が決まっていたのに戦争で行けなくなり、友達たちとラジオをはじめてコバニの様子を流す。

どこへ行っても辺り一面の廃墟で、コバニが少しずつ再生しようとしているところから始まる。はじめにしなくてはいけないところが死体の処理だった。ショベルカーに遺体がでろんと落とされる。うまく乗りきらずに足が揺れ続けている。かつてこの”人”が考え、動いたことが信じられなかった。二度と忘れることができない。こどもが横で見ている。撃たれた人の直後の表情も忘れられない。そして相手を殺したとき喜ぶコバニの人の表情も。

女性はひたすら取材を続け、その様子をラジオで流し続ける。コバニの人たちはそれを聞いている。男性は皆兵士になっていたし若い女性も兵士として...手榴弾や爆撃をしていて...

ISの兵士が捕らえられたときに彼は泣きながら家族に会いたいと言った。自分は正しいことをしていると思っているけれど、こどもや女性を殺すことが正しいのかと聞かれたら口を開かなかった。

殺したときには大人かこどもかの区別がつかず、武器を奪うときにようやくわかる。コバニの兵士は夢に殺したこどもが出てくると言っていた。その絶望感はどうやったってはかり知れない。

やがて全域を奪還し、避難していた人々が帰ってきて、兵士にならざるを得なかった人は元の職業につきなおし、新しく建物が建ち始める。その報告をするラジオは救いのようだった。

「わたしの感情は死にました」と言いながらも人のためにラジオを続けているのは同い年の女性だった。

 

 

ラッカは静かに虐殺されている

ISが首都としたラッカに住んでいた人が、「ラッカは静かに虐殺されている」というチームを立ち上げ活動をしていることを追ったドキュメンタリー。SNSで世界に情報を発信し続けている。中心のグループはヨーロッパのセーフハウスを転々としている。仲間が帰ってくるだけでも部屋じゅうに緊張が走る。常に命を狙われ、メッセージでセーフハウスの玄関の写真をあげられ、精神が削られていく。父親か兄弟を殺され、その様子を動画であげられる。ISのプロパガンダの映像がかなり流れており、画質や編集は映画並みに仕上がっていた。吐き気がした。とにかく何もかもが気持ち悪かった。

仲間が暗殺され、バラバラでまた違う国へ...

ドイツにいたとき、移民を憎む人たちが起こしたデモの様子も流れていた。わざわざ移民は死ねとプリントされている携帯を向け写真を撮りまくる女性がいた。

フランス警察に保護をさせてくれと言われても断る活動家。安全な場所を求めているのでは?と聞かれると、ラッカで情報を送ってくれているひとたちがいるのに自分だけ保護されるのはおかしいと言った。彼は衰弱しきっていて、何日も眠れていないようだった。全身が震えてうまく動くことができず、それでも活動をやめていない。

 

なるべく情報だけ抜き出して書いたつもり。

 

おかしいことをおかしいと言って命がけで戦っているひとがいることを忘れてはいけない。矛盾するけれど、正しさってなんだろう。少なくとも幼いこどもに親が与えられない高価なものを与えて洗脳させ自爆させるのに正しさなんてない。言葉が話せるようになったばかりのこどもが笑顔でぬいぐるみの首を切っている。そんなの絶対におかしい。

 

今は直接何もできないかもしれないけれど、知ることはできる。わたしは知り続けたい。

 

 

 

 

 

 

『人生フルーツ』は国内のドキュメンタリー映画のなかでベスト1になった。DVD絶対に買わなければと思ったけれど、販売していないみたい。

...ほんとうに良かった。